患者さん向けのやさしい医療情報

医師の不足と偏在
    
大都会でも医師不足

医師・研修医の大都市への集中、地方での極端な医師不足が生じています。


 東京、大阪など
大都会には、国公立大学医学部は多くありません。
 (逆に、私立医大の多くは大都会に集中してあります。)
例えば、人口1277万人の
首都・東京には、東京大学東京医科歯科大学の2校のみに国立の医学部があるだけで、その定員は合計180人にすぎません。
さらに
東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に広げてみると、人口3500万人を越え、2位のメキシコシテイ圏1940万人をはるかに凌駕する世界最大の大都市なのです。しかし、国公立大学医学部は横浜市立大医千葉大医の160人を加えても、総計340人にすぎません。
その一方では、人口60万人の鳥取県や70万人の島根県にも国立大学医学部はあり、2県の医学部定員数は200人、東京のそれよりも多いのです。

 大都会出身者の多くは、否応なしに地方の国公立大学医学部へ進学
していきます。
 卒業と同時に、都会(出身地)へ帰りたい気持ちもわかるような気がします。
 地方出身者も、都会で研修したい気持ちはまた同じです。
 生活に便利なだけでなく、研修の機会も多く、家族の生活や子弟の教育にも便利です。


      ********************** 地方財政 **********************

 地方住民の子弟の多くも、仕事や生活のために田舎を離れ、都会へ移り住んでいます。過疎化が進み、老人ばかりがそこに残され、
地方交付税でなんとか維持されているのが地方社会の実情でしょう。
 そこにもかかわらず、使われもしない豪華な飛行場が作られたり、車のほとんど走らない道路や橋へ巨費(税金)が投じられたり、地元も希望しないスキー場や道の駅を作らされたり、
維持費だけでも莫大なムダな箱物ばかりが作られてきました。日本全国、休耕田も多いのですが、水田の用・排水路はコンクリートで固められ、農道の隅々までアスファルト舗装がなされています。こうしたばらまき・押しつけ不採算公共事業政策が続きました。国と地方を合算すると、赤ん坊まで含めて国民一人あたり1000万円をはるかに越える気の遠くなるような、膨大な借金を抱え込んでしまい、しかもさらに増え続けています。
 その一方では、地方住民の自立意欲はそがれ、
すべてを他者に頼ろうとする従属社会へと堕落してしまったのです。言葉をかえれば、恵んでもらうのが当たり前の乞食根性が住民一人一人の奥深くすみついてしまったのです。

(私の故郷のあまりの変貌ぶりを見るにつけ、このような思いに至った胸中は複雑です。
先進7カ国だけでみても、医療福祉費は最低です。公共事業費は、他の6カ国すべての総合計よりも、日本一カ国の公共事業費がはるかに大きく、突出した
異様な土建国家なのです。) 


      
*********************** 地方病院 **********************

 
公立病院も又しかりです。建物や設備など(ハード)にムダなカネを注ぎ込んで最も肝腎な、医師の待遇や労働条件の改善のため(ソフト)には、カネを一切使おうとしないのです。ムダな費用のごく一部でも、医師の労働条件や待遇の改善へ配慮されていたなら、地方医療の悲惨な状況もかなり変わっていたかも知れません。

 しかし、行政担当者や地方住民の意識は頑迷で、かわりません。
劣悪な労働環境下で、医師は疲労困憊し、医療事故を誘発しても、主治医の責任に押しかぶせて、尻尾切りに走ります。院長や事務方など病院管理者は責任逃れに汲々としています。事務(役人)は任期を無事に勤めることこそが最大の目標です。
医師のモチベーションは自ずと低下し、国公立病院勤務は危険ですらあるのです。
人事異動で動く役人(幹部事務)たちは、医療事務は素人です。(民間病院では能率良く院内処理されるであろうことまでも)業務の多くを民間へ丸投げし、暇をもてあましています。公立病院のいわばゴキブリ、ダニにすぎません。

 大学医局人事で派遣され、公立病院で
5年間専門医として激務に耐えた退職金が100万円、天下りで、5年間暇をもてあました事務長の退職金が2000万円、全国の公立病院ではよくある話です。

 医師の給料を抑えこむためか、医師を支配下に置きたい官僚支配術のなせるワザか、多くの場合、
医師は現業≫と言われる不安定な身分です。ゴミ収集人などと同じ臨時雇い扱いです。一般公務員のそれと同じではありません。
事務職や看護婦、レントゲン技師などパラメディカル職員は、一般公務員です。
働きの悪い年功序列永年勤務の高給職員たちこそが、公立病院最大のガンになっています。
 それら
事務職はじめコメディカルスタッフのために、公立病院は存続しているのです。
勤務医たちは、病院公務員(コメディカルスタッフ)の給料を稼ぐための≪奴隷≫です。医師は自虐的にそう思っています。それを証拠に、医師に見放され、診療がほとんど行われていない病院ですら、改革されるでもなく、人員整理がなされるでもなく、そのまま赤字を垂れ流し続けながら存続させています。

 『医師の給料を抑え込むことが、公立病院経営改善最良のポイント』などとしてきた、官僚事務方の誤った考えは一向に改まりません。

 これら
≪構造的問題≫に、医師たちは心底嫌気がさしています。ひとたび医師に見放された病院は、たちまち経営不振におちいり、破綻への悪循環にはまってしまいます。医師不足は収入低下へ直結します。残った医師たちの労働環境をますます悪化させ、更なる医師の≪逃散≫をまねきます。


       *********************** 地方住民 ***********************

 地方住人の多くは、子供は都会で働き、娘はこんな田舎に嫁にやれないと思っています。しかし、地方交付税を国からもらうのと同じように、
医療はタダで与えられるもの、医者は来てくれるのが当たり前と思っています。
 間違った平等意識(権利意識)が支配しています。
 まず自分達自身の意識改革をおこない、受け入れ条件を整えるべきです。医師を招へいしようとする以上、
自由経済の原則に則って、勤務条件・生活条件が悪い分を補う為にも、都会よりよりよい条件を提示しなければならないでしょう。

 
ただそうしても、そうそう医師が来るとは思えません。地方病院に勤務する以上、よそ者として24時間監視されます。気持ちの休まる間もなく365日かりだされ、医療訴訟のリスクもより大きくなります。ストレスもまた大きいのです。プライバシーのなさや、家族の生活や子弟の教育などの問題もあるでしょう。
 住民の素朴さや感謝の言葉を働き甲斐にできた
≪古き良き時代≫はすでに過ぎ去りました。地方住民も権利意識のみが強くなり、≪ギスギスとした訴訟社会≫
なってきました。地域に根ざした開業医をすらバカにする時代です。
 幸い、昔と違って、交通網の整備ははるかに改善されています。どこに住んでいても、1〜2時間も車を走らせれば、中核都市の医療機関を受診できるでしょう。
地方で生活する以上、それなりの不便さもある程度受け入れる必要があるのではないでしょうか?





●東京など大都会でも医師は不足しています。


 
医療供給体制の危機的状況をまねいているのですが、政府もマスコミも、医師を非難するばかりです。医療体制の根本的な問題点は、無視され続けています。
なにせ昭和23年に策定された≪医師配置基準≫に厚労省はいまだ拘泥しています。その前時代的基準に照らしてさえ、医師数ははるかに不足しています。医療内容は、当時と比較にならないほど高次に進んでいます。検査・治療にも数倍の医師を必要とします。必然的に、医師の労働環境が悪化し続けているのです。

 医師の配置基準を、現状に即して引きあげて、労働基準法に則った医師の労働環境を築くためには、それに
見合った医療費の増額が必要です。財務省と厚労省とがつるんで、御用マスコミを利用して、医師を悪者に仕立てひたすら攻撃することで、真の問題点をカモフラージュしているのではないでしょうか?
 これらの問題点は、医療関係者でなくても、少し考えれば、容易に理解できそうに思えるのですが? 
国会答弁などを聞いていても、
政府や厚労省は、(及びマスコミ関係者も)故意に、医療現場の窮状、医療供給体制の惨状を無視し、医療崩壊へ追い打ちをかけるような医療費削減キャンペーンを流し続けているとしか思えません。

 医療崩壊の最も根本的原因は、
低医療費・医療総枠削減政策です。自民党政府が決定したこの誤った愚かな政策を速やかに中止することが必要です。必要な医療費を算定し、大幅に医療費総枠を拡大するべしです。≪財源≫はあるのです。
 いかなる小手先の政策を導入したところで、低医療費・医療総枠削減政策のもとでは、どうなるものでもありません。ますます矛盾を拡大し、事態を悪化させるばかりです。

 過労死や、疲労による医療ミスを起したり、燃え尽き症候群をきたして当然なぼど苛酷な医師の労働環境を無視してきた厚生労働省や病院管理者側の≪危機管理意識の欠如≫によるものでもあります。看護師と同様に、労働基準法にのっとった医療環境をまず構築するべきです。

     2007.4.20


療費総枠拡大のための財源はあるのか?
医学部に地域勤務枠、卒後10年僻地勤務義務2007,5,13(読売新聞)

医師臨床研修、臨床研修マッチング



 
     
 2007,5,4  オダマキ


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